2012年03月19日 03:32
ホワルバ2をクリアしてから一週間ほど経ちましたが、思い出し笑いならぬ、思い出し泣きという
非常に気持ちの悪いものをこの数日で何度も経験するハメに。 ・・・我ながらこのキモさはないわー。
そんなホワルバ2の凄いところですが、なんといってもシナリオが凄い。
ボリュームもさることながら、いや、これだけのボリュームがありながら、全く無駄がないところが凄すぎる。
これまでプレイした作品はどんなに面白くてもどこかで中だるみをするところが必ずあった。
けど、ホワルバ2はそれが全くない。どのシナリオの、どの出来事も、無駄が一切ない。すべてが必須。必要不可欠。
それでいて、どのシナリオでも納得のできるたたみ方ができている。もう凄いとしか言いようがない。
奇跡も魔法もなく、厨二やファンタジー要素も一切ない。
ただ、どこまでも徹底してリアルを描いた恋愛ドラマ。だからこそ、より強く心に響いたのかもしれない。
Dies irae の感想を書いたときに、
『限りなく100点に近い99点』
『100点でないのはこれを超える作品を望んでいるから』
と書きました。大きい目線で見ればジャンルという垣根は確かにありますが、
それでもそれを超越する、有無を言わせない内容。文句なくホワルバ2が望んでいた満点の作品と認めざるを得ない。
これまで、好きな作品と評価の高い作品は必ずしも一致しているわけではなく、どちらかというと別でした。
俗に言う美少女ゲームというもので、
自分が一番好きなのはRoutes、一番燃えたのはDies irae、一番泣いたのはCLANNAD、
一番驚いたのはEVER17、一番楽しんだのはD+VINE[LUV]、一番思い入れがあるのはToHeartと
作品によって楽しめるところが違う分、評価もまた変わっていましたが、今作はその差がない。全部が好き過ぎて。
そして、この作品が何より凄いのは、最近はアニメしか見ていなかった自分に、
そのアニメを見るという選択肢を捨ててまで没頭させるだけの魅力と面白さを兼ね備えているだけではなく、
ブログの更新という正直今となっては時間を削ってまで書く程のことでもないと思っていたこの自分に、
この作品のためだけに、ここまで熱く語らせることができることでしょう。
今まで一つの作品に対し何度も感想を書いたという点では、
Dies iraeとヴァルキリープロファイル2の2つの作品が前例としてありますが、
前者は作品の内容というより発売前の期待感がもたらした結果だし、
後者はまだ就職していなかったので時間に余裕があった。
ホワルバ2はボリュームが凄いので、必然的にプレイ時間が長くなります。そのため忙しく時間のない社会人には
この圧倒的ともいえるボリュームに怯むかもしれません。・・・プレイすればすぐに杞憂となるわけですが。
そして前述の通り、シナリオに無駄が一切ないので止め時が見当たらないどころか続きが気になって
普通なら一気にプレイしたくなるので自分のようにクリアするまで二ヶ月も「かける」人はほとんどいないでしょう。
ここでポイントなのが、プレイに時間が「かかる」ではなく「かける」ということ。
続きが気になるんだけど、先に進むのがもったいなくて、何度も、何度も再プレイして、感傷に浸って、心を痛めて・・・。
何度もプレイするのが当たり前のようなアクションやシューティング、テーブルゲームではなく、
ただの、と言ってはなんですが、オーソドックスな恋愛アドベンチャーゲームをここまで何度も再プレイした作品は初めてだし、
正直これほど自分からホワルバ2以外の時間を奪われることになるとは思ってもいなかった。
でも、この作品のことだけを、本当にただそれだけを楽しんでいたこの二ヶ月間は、最高に充実していたと声を大にして言える。
少しずつ、少しずつ進めていく楽しさを存分に味わえた。こんな作品は今までなかった。
エロゲからはもう随分と離れているため、この作品をプレイしたのは続編であり、完結されたセット版が出てから。
Diesのときは完全版が出るまでは非常に焦がれたし、待つ喜びというものが強かった。
けど、ホワルバ2に関しては負け惜しみでもなんでもなく、セット版で一気にプレイ出来てよかったと心から言える。
確かに待っていた人たちに比べれば作品に対する想いでは及ばないかもしれませんが、
雪菜が好きな自分としてはあんな気持ちのまま一年以上も待たされたらとても耐えられなかったと断言できるので。
そう考えるだけで、そう思えば思うほど、一年どころか三年以上も苦しみながらも耐え続け、折れずに頑張り続けた
雪菜の強さが身に沁みて分かる。分かるからこそ、この真情の吐露には心を打たれた。
こんなものを見せられれば雪菜を好きにならずに入られない。
そんな雪菜とかずさの対比として、かずさにも同じように真情を吐露するシーンがありますが、これも切ない・・・。
春希を好きな気持ちについては100対99くらいの差かもしれませんが、確かにかずさのほうが強いのかもしれない。
でも、それは春樹を好きというより春樹がいないと生きていけないといったところの差なのかも。
春希のために一番頑張って、一番心を押し殺して、一番強くあろうとしたのは誰がなんと言おうと雪菜だし。
雪菜がいなければ、3人が揃うこともなかった。
雪菜が奪わなければ、一人と一人と一人になることもなかった。
雪菜が頑張ったからこそ、再び3人で笑いあえる日が来ることができた。
だから、俺は雪菜が一番好きだし、一番幸せになってもらいたいと心から願う。なのでEDはやっぱり雪菜トゥルーがベスト。
そしてそのベストとごくわずかで僅差だったのがかずさノーマルED。
雪菜トゥルーが最も満足したとするなら、かずさノーマルは深く感銘を受けたという感じ。それほど甲乙つけがたい。
・・・しかしこのかずさノーマル、初回プレイでは正直ムカついた。嫌いで仕方なかった。雪菜派の自分としては許せなかった。
もうあまりの腹立たしさにゆっくり楽しむはずが一気にプレイしてしまったので。怒りのおかげで眠気も吹っ飛んだしな!
そんな大嫌いなまま終わるはずだったのに、あのコンサートと回想シーンで交互に描かれるかずさの強い気持ちに
触れてしまってからはもう涙が止まらなかった。このときの心情はまさにic時代の朋と同じなんだろうなぁ・・・。
雪菜と違い精神面が弱かったかずさがどんな心境でこの想いに至ったかを想像するだけでまた泣けてくる。
そしてここでいつも号泣。雪菜の台詞が沁みる…。かずさのピアノが一番凄く感じたのも当然このシナリオ。
個人的にラストの曲である「ピアノ・ソナタ第2番ト短調op.22~第1楽章」はのだめで聴いて以来とても思い入れのある
曲なので思わず聴き入ってしまったし、演奏中はシナリオとの相乗効果で終始鳥肌が立ちっぱなし。まさにブラボー。
それとこのシナリオは冬馬親子の会話も奥が深くて好き。
曜子さんのこの台詞は初回プレイでは額面通りの意味にしか感じられなかったのですが、
ドラマCD「一泊二日の凱旋」を聞いた後だとこの台詞がダブル・ミーニングだったことに気付いてとても重い。
まぁ、すぐに気がつかなかった自分の読解力のなさには辟易とさせられましたが。
そんなわけで初めは大嫌いだったのに繰り返しプレイすればするほど好きになった稀有なシナリオでしたね。
春希の子供、出来てるといいな。頼んだよ、神様・・・。
・・・う~む、雪菜シナリオには言及しないでなぜかこちらばかり熱く語ってしまった(苦笑
まぁ、あっちは語ったらキリがないというか、語る必要もないほど完璧な結末なので今更俺が書くことでもないかな、と。
ちなみにかずさトゥルーですが、こちらについては“嫌いではないけど好きにもなれない”という気持ちが強い。
これはシナリオの関係上最も辛い思いを味わわなければならないということに対してではなく、問題はその見せ方。
本作で丸戸さんはどのシナリオでもミスリードを巧く使っていますが、かずさトゥルーの使い方に対してだけは文句を言いたい。
いくら最後の感動の演出のためとはいえ、雪菜に対する仕打ちはあんまりだと言わずにはいられない。
いったいどれだけ不安にさせられたことか・・・。まぁ、それすらも計算のうちなんでしょうけど、それでも悔しい。
・・・まぁシナリオに対する言及はこの辺にして、ホワルバ2を骨の髄まで楽しむなら本編をクリアした後に不可欠な要素が3つ。
ピロートークの視聴、ゲーマガ3月号のスタッフインタビュー、ドラマCD「一泊二日の凱旋」。この3点は絶対に欠かせない。
まず、ピロートークですが、これは本当によく公開してくれたと素直に思う。
サブの3ヒロインはそれほどではありませんが、雪菜とかずさの2人はこれを聴く聴かないでは思い入れもまた変わるので。
雪菜はピロートークでも泣けたからなぁ。本当に今までいろいろあったなぁと感慨と郷愁の想いで胸が熱くなった。
対するかずさは心の底から幸せを感じられるいい内容だった。かずさトゥルーが好きではない俺でも認めざるを得ないほど。
ソフマップの店舗特典ということで所有者は優越感に浸れなくなり残念かもしれませんが、
それは同じものを好きな同士ということで雪菜のような寛大な心で許容していただきたい。
次に、スタッフインタビューですが、これまたとても深く考えさせられる内容だった。
そしてこれを読んで一つだけ後悔していることがある。
攻略に√制限があると思い込んでいたこと。そのため1回目のプレイを適当に進めてしまったこと。
これに関してはネタばれになるので事前に告知できないかもしれませんが、やっぱり知っておきたかったというのが本音。
くそぅ、もう一度ic直後の真っ白な状態のままプレイしてみたい。
それとこれを読んで安心したのが「かずさエンド」の公式見解。本編だけでは憶測だけしか出来ずに悶々としていましたが、
きちんと制作側から断言してくれたのでようやく胸をなでおろすことが出来ました。
ユーザー側ではなく、スタッフの語る制作秘話だけにどの内容も非常に濃く、作品をより理解するためには必読でしょう。
そして最後に「一泊二日の凱旋」ですが、これはやられた。完全にやられた。
視聴前まではかずさエンド後の内容だと勝手に思っていたのですが、まさかccのあの時のことだったとは・・・。
しかも内容がこれまた濃い。切ない。苦しい。泣ける。かずさと曜子の親子関係がもう好きすぎて堪らない。
このドラマCDのおかげでかずさノーマルエンドでの忘れ形見という可能性を思い描くことも出来たので。
そしてなんといってもcc時代の冬馬かずさ特集の記事に対する本人の反応が見られただけでお腹一杯ですよ。
演出の仕方がまたずるいというか、最初に全部読んだと思わせておいてからの、あの動揺。
あんなものを見せ付けられたらいくら雪菜が好きといってもブレるに決まってるじゃないですか。
いったいこの作品はどこまで俺を泣かせればキリがすむのか・・・。
このドラマCDを聴いてからcodaをプレイしたら、かずさノーマルの破壊力がいろんな意味で天元突破。
とまぁそんな感じでホワルバ2を語る上でどれも欠かせないファクターだった。
最後に、名シーンが多すぎるホワルバ2ですが、
その中でも私的に一番好きなのはccの学園祭後にマンションまで息を切らせながら一緒に走る春希と雪菜だと断言。
あのシーンは雪菜派の人にとっては欠かすことの出来ない名シーンだと思うのですよ。
ちなみに曲のほうは全部が好きなので迷いますが、【After All】、【愛する心】、【時の魔法】の順に好き。
【After All】は不動の1位。【愛する心】はシナリオの影響のためか初見で一番心に響いた曲。
【時の魔法】は初見ではそれほどでもなかったのですが、聴き込んでいるうちに評価が一番変わった曲。。
他にも【closing】は歌詞が一番好きだったり、曲も歌詞も切ない【心はいつもあなたのそばに】だったりと
結局は全部好きなのですが、これだけたくさんの曲があって一曲も好きになれない曲がないというのが逆に凄い。
サントラの発売も決まったことだし、追加曲共々今からとても楽しみだ。
・・・ずいぶん長々と書き連ねましたが、それだけ魅力のあった作品ということで。
これだけの作品を制作したスタッフとネタばれせずに心置きなくプレイできたことを心から感謝したい。
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